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エタノールによる暑熱環境下持続性運動中の身体冷却効果に関する研究 (水よりエタノールのほうが冷える?とにかく冷却は重要!) [論文解説]

マラソンは人間の運動の中でも、一番エネルギー消費が大きな部類です。そのため、どれだけ身体を冷やせるかがパフォーマンスに大きく影響します。で、今回はその冷却法に関する論文を紹介します。
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//エタノールによる暑熱環境下持続性運動中の身体冷却効果に関する研究
http://www.sc-library.jp/journal/9.pdf

研究結果概要

・有酸素運動時には水などで冷却するとパフォーマンスが上がるが、特にエタノールで冷却した場合にパフォーマンス向上率が高い。(統計的有意差ではないが)

研究目的:水で冷やすのが一番良い?

普段私たちがスポーツをするときに冷却につかうのは水や冷却スプレー等ですよね。実際にこの冷やすという行為によって、運動パフォーマンスが向上するのは確認されています。このとき、水を使うのが一番良い冷却方法なのでしょうか。それとも、冷却スプレーにも一部入ってますが、エタノール(アルコール)を使ったほうが良かったりするのでしょうか。それを確かめるのが研究の目的です。

研究方法:走行中に水とエタノールをぶっかけるよ!

研究方法としては、室温25度のトレッドミル中に10分ごとに水あるいは
エタノールをぶっかけることで心拍数などに差がでるかを測定します。
10人に対し、1)何もしない場合と2)水をぶっかけた場合、3)エタノールを
ぶっかけた場合の3パターンの測定をおこないます。

研究結果:人によるがエタノールのほうが冷え、パフォーマンスがあがる

・体温:統計的有意差で水よりエタノールのほうが冷えたそうです。
・発汗量:エタノールのほうが水よりも発汗量が減ったそうです。何もしないときより、統計的有意差で発汗量が減ったとのことです。
・心拍数、酸素摂取量:心拍数はエタノールのほうが水より低くなり、酸素摂取量(エネルギー消費量)はエタノールのほうが上昇したそうです。
酸素摂取量については、こちらの記事で説明してます
・走行距離:こちらは人によって違う。何もしない場合3132m程度走行でき、水では3292m、エタノールでは3262走行できたそうです。10人中6人がエタノールのほうが走行距離が47mほど長くなりましたが、残り4人は146mほど水のほうが長く走れたそうです。
– この理由としては、初心者の方だとエタノールは冷えすぎではないか、とのことです。
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考察

・全体としてエタノールのほうが冷却効果が高いといえるかと思います。しかし、運動パフォーマンスとして、それが良いか悪いかは別問題のようですね。初心者で最大酸素摂取量が低い人の場合、それほどまで体温があがらないため、水で十分だと思います。しかし、上級者になると、パフォーマンスが高くなり、とにかく冷却する必要があります。このときにエタノールのほうが有効になる確率は高いと思います。
・まあ、結論からすると、エタノール/水の差でなく、何もしないときとの差がとにかく大きいです。(何もしない場合と冷却時で、走行距離が3%程度も違う) 身体を冷やすという行為が重要!ということです。
・レース時には全員同じ気温で走るわけですが、冷却方法によって他人よりも有意な状態にたてるということです。同じ走力であっても、うまくいけばパフォーマンスが3%程度もあがるわけですから。ですので、マラソン時の補食と同レベルで、マラソン時の冷却についても考えてみてもよいかもしれないです。(自分は軽量の冷却スプレーを持って走ったこともあります)
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