[論文紹介] 超重要!健康的なジョギングの条件は週3回以下かつ中程度以下のペース!高速度/高頻度のランは運動しない人より死亡率が高くなります!
今回は、すべてのランナーにとって超重要な論文についてです。自分はものすごく高スピードかつ高頻度でランニングをしており、日々「こんなトレーニングじゃ、健康に良いどころか絶対寿命縮めているよなあ」と思っていました。それが今回調べた論文では明確な結果として示されていました。
今回の論文は5000人レベルの大規模な調査が行われており、
統計学的にも正しいものとなっており、日本の有識者の中でも
「過度の運動が寿命を縮める」ことのエビデンスになると考えられているようです。今回はその論文の概要を紹介します!
論文について
論文タイトル:Dose of jogging and long-term mortality: the Copenhagen City Heart Study.
論文発表:2015年
論文URL:http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/25660917
⇒ 比較的新しい論文であり、信頼のおけるものです。
論文の目的/調査概要
コペンハーゲン市心臓研究の一環として、1098人の健康なジョガーと3950人の健康なジョギングをしない人を研究対象として調査したようです。大規模な調査範囲ですね。研究の目的としては、最適な運動量を測ることです。昔から運動している人のほうが、運動していない人より死亡率が低いのがわかっていましたが、その最適な運動量はわかっていませんでした。
そこで、今回は運動の頻度とその運動強度によって死亡率(危険率、Hazard Ratio)がどう変化するかを調査しました。なお、ペースについては本人の体感的な速度評価のようで、一定速度以上が「速い」などの定義はないです。
Hazard Ratio:危険率(死亡する危険性)のことであり、今回の論文では運動をしない人を基準として1と定義し、1以下であれば運動していない人より死亡率が低く、1以上であればより死亡しやすいことを意味しています
論文調査結果
Hazard Ration(危険率)は下記のような結果となりました。
以下、太字のものは一番死亡率が低いものをさしております。
[ジョギング頻度別]
運動しない人:1.0
週1回ジョギング:0.29
週2-3回ジョギング:0.32
週4回以上ジョギング:0.72
これを見ると、週1回程度もしくは3回程度のジョギングで十分といえますよね。
[ジョギング時間別]
運動しない人:1.0
週1時間以下ジョギング:0.47
週1-2.4時間ジョギング:0.29
週2.5-4時間ジョギング:0.65
週4時間以上ジョギング:0.60
こちらをみても、週1~2.4時間程度にジョギング時間をおさえておくのが一番健康によいようにみえます。
[ジョギングペース別]
運動しない人:1.0
低速度ジョギング:0.51
中速度ジョギング:0.38
高速度ジョギング:0.94
次に、下記の対応表でジョギングの回数、時間、速度を総合的に評価するため、下記のような変換表をつくり、トレーニング負荷を「軽度」「中度」「過度」の3つにわけて評価をしました。早いペースでトレーニングを行い、かつ高頻度でトレーニングをしてる人が過度と判定されるわけですね。
速度 | 低速度、中速度 | 高速度 | |||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
週のジョギング時間 | 2.5時間以下 | 2.5-4時間 | 4時間以上 | 2.5時間以下 | 2.5-4時間 | 4時間以上 | |
週のジョギング回数 | 週4回以上 | 軽度 | 中度 | 中度 | 中度 | 中度 | 過度 |
週3回以下 | 中度 | 中度 | 中度 | 中度 | 過度 | 過度 |
[トレーニング負荷別]
運動しない人:1.0
軽度トレーニング:0.22
適度トレーニング:0.66
過度トレーニング:1.97
すごいですね。過度トレーニングをした場合、何もしない人より危険率(死亡率)が2倍も上昇するようです。それは、考えてみれば当たり前ですよね。自分の身体を痛めつけているんですから、安静にしている人より身体が消耗するのは当たり前です。
結果の考察:ジョギングの是非
最近、ちまたではジョギングは身体に実は悪いのではないかという話がでてきていますが、これを見れば一目瞭然ですよね。
「週3回以下で、自分にあった適度なスピードでの運動をする」
これが健康目的のジョギングの一番のコツといえるかと思います。これであれば、ジョギングが無駄で逆効果なんてことはないです。
しかし、ハイペースで週4回以上/4時間以上となってくると話が違ってきます。それは適度な運動を超えて、「身体を痛めつける」作業となってきます。レースタイム重視でランニングしている人はそのリスクを考慮に入れなければならないということですね。
ということを、偉そうに言っているのではなく、自分に一番
言い聞かせなきゃいけないと思っております、、、、(超負荷心拍トレーニングで痛めつけている自分は、死亡率が何倍になるのでしょうか、、、^^;)
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