運動(ランニング)のエネルギーはどこから生まれる?(3) 種目ごとのエネルギー源の割合!
目次
各エネルギー源のまとめ
まず前回のおさらいからです。体内のエネルギー源には主に4つの種類がありました。上から順に、エネルギーの変換効率は良いけど、長く持たないものになっています。一番下の脂肪分解はエネルギー効率は悪いけど、無尽蔵なエネルギーを持つものです。
1.ATP-CP;エネルギーは強力だが、10秒程度しか持たない
2.嫌気的解糖:酸素なしでグリコーゲンをエネルギーに変えられるが、変換効率が悪い。
3.好気的解糖:効率良く長期的にエネルギーを発揮。ただグリコーゲンは2000kcal程度しか体内にためこめないため、これが限界
4.脂肪分解:体内に無尽蔵にある脂肪を用いる。エネルギー変換効率が悪いため、速度は出ない。
それでは、これらのエネルギー源が各種目で、どのような割合で使われていくのでしょうか。それをイメージ図としてグラフ化してみましたので、参考にしてみてください。もちろん個人差ありますが、大体のイメージはこうなるはずです。
100m走でのエネルギー源(イメージ)
100m走の場合は、単純であり、ほとんど酸素を必要とせず走るはずです。なので、ほとんどがATP-CP系の10秒程度しか持たないエネルギーで走り切ってしまうはずです。ただし、少しだけは嫌気的解糖エネルギーも使うことになるかと思います。
400m走でのエネルギー源(イメージ)
400m走の場合は、下記のような割合になるはずです。簡単に言うと、ATP-CP系は100メートルそこらで尽きてしまうはずです。そして、そのあとは嫌気的解糖によりエネルギーが供給されていきます。ただし、400m走るころには有酸素的な好気的な解糖エネルギーも使われ始めるはずです。
フルマラソン時のエネルギー源(イメージ)
一気に飛びまして、フルマラソン時のエネルギー源の割合です。こちらのグラフはトップアスリートが本気で走った場合をイメージしています。ほとんどのエネルギーを好気的解糖(グリコーゲン)から得ている形になるかと思います。嫌気的解糖の割合はもう少し多いかもしれませんが、どちらにせよ酸素を使用した好気的解糖がメインとなるはずです。ATP-CPなどは、最初の100~500メートルぐらいで使ってしまっており、ほとんど影響しないようなイメージになるかと思います。また、脂質分解の割合がどれぐらいになるかは、走るスピードと運動強度によって変わってきます。本気で走っていれば、8割以上はグリコーゲンが使われ、脂肪はあまり使われないはずです。ただ、グリコーゲンが切れ始めたら、図のように脂肪の割合が高まってくるはずです。(トップアスリートならほとんど使われないかも)
ジョギング時のエネルギー源(イメージ)
参考ですが、こちらhジョギング時のエネルギー源の割合のイメージです(なぜか42km走行時)。ジョギングなどペースが遅い場合には、脂肪とグリコーゲンは半々ぐらいで使用されるというのが一般的な見解なようです。ただ、グリコーゲンが尽きてきた時には、脂肪がより使われることになるはずです。それしかエネルギーがないんですからね!ここまでいくと相当キツイと感じるはずです。
上記のように、走る競技によって、どのエネルギーを使うかが変わってきます。ですので、そのエネルギーを有効につかえるように、普段から適したトレーニングをしておく必要があると考えられます。
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