微分の考え方:基本的な導関数(微分)の求め方
前回の記事で、導関数(微分)の考え方を説明しましたが、もう少し詳しく説明していきます。
目次
微分の考え方
基本的には
$$ \large{ f'(x) = \lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h} }$$
という式を用いて、これを変形して導関数(微分)を求めるという事になります。ただ、hで割っているのにそれが0に向かうってどういう事??って思ってしまいますよね。
そこで今回は、具体的な基本的な関数(一次関数、二次関数、三次関数)の導関数の求め方を説明していきます!この流れが分かれば、なんとなく一般的な導関数の求め方が分かってきます!
一次関数の導関数
まず一番簡単な関数
$$ \large{ f(x) = x }$$
の導関数を求める事を考えます。この求め方は以下の通りです。
\(= \displaystyle \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h}} \)
導関数定義式
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ \CB{x + h – x} }{h} \)
f(x)=xを代入
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \CB{\frac{ h }{h}} \)
h/h = 1とできる
\(= 1 \)
まず導関数の定義式にf(x)=xを当てはめて解くだけです。分子のxが消えるので、結局\( \lim_{ h \to 0 } \frac{ h }{h} = 1 \)となります。分母にhがありますが、結局分子にもhがでてきて相殺出来るわけです!こんな感じで各関数の導関数(微分)を求める事ができます!
二次関数の導関数
それではもう少し複雑な二次関数
$$ \large{ f(x) = x^2 }$$
の導関数(微分)を求めていきます。
\(= \displaystyle \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h}} \)
導関数定義式
\( = \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ \CB{(x + h)^2 – x^2} }{h} \)
f(x)=\(x^2\)代入
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ x^2 +2hx + h^2 – x^2 }{h} \)
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ 2hx + h^2 }{h} \)
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } { \CB{2x + h} } \)
分母hで割る
\(= \CB{2x} \)
h→0でhは消える
1次関数よりも複雑ですが、手順は同様です。f(x+h)-(fx)を展開して、分子を計算して\( \lim_{ h \to 0 } \frac{ 2hx + h^2 }{h} \)\の形まで持ってきます。あとは分子をhで割って\( \lim_{ h \to 0 } { 2x + h }\)の形にすればOK。そして最後の最後にh→0を適応します。すると、hの項が消えるので、最終的に\( f'(x) = 2x \)とできます。
1)まず分子を計算、2)それをhで割る、3)h→0を適応する、という3段階の手順で導関数は求められます。
三次関数の導関数
二次関数と似た感じになりますが、次に3次関数
$$ \large{ f(x) = x^3 }$$
の導関数(微分)の求め方です。
\(= \displaystyle \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h}} \)
導関数定義式
\( = \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ \CB{(x + h)^3 – x^3} }{h} \)
f(x)=\(x^3\)代入
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ x^3 +3hx^2 +3xh^2 + h^3 – x^3 }{h} \)
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ 3hx^2 +3xh^2 + h^3 }{h} \)
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } { \CB{3x^2 + 3hx + h^2} } \)
分母hで割る
\(= \CB{3x^2} \)
h→0でhがかかる項は消える
やや複雑になりましたが、基本は1)まず分母を計算、2)hで割る、3)h→0を適応する、という3段階の手順に沿えばOKです。
1)まず分子を計算して、\(\lim_{ h \to 0 } \frac{ 3hx^2 +3xh^2 + h^3 }{h} \)の形にし、2)これをhで割って\(\lim_{ h \to 0 }{ 3x^2 +3xh + h^2 } \)とし、3)最後にh→0を適応して\( \lim_{ h \to 0 } { 3x^2 + 3hx + h^2 } = 3x^2 \)とするわけです。hが残っている項はh→0の適応で全て消えるのがポイントです!
n次関数の導関数(一般化)
最後に一般化してn次関数
$$ \large{ f(x) = x^n }$$
の導関数を考えます。
これは途中計算端折りますが、
\( = \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ (x + h)^n – x^n }{h} \)
\(= nx^{n-1} \)
となります。3次関数の求め方で見た通り、hが2つ以上掛けられていると0扱いになるため、最終的に残るのは分子の\( nhx^{n-1} \)の項だけです。これを分母hで割って、\( f'(x) = nx^{n-1} \)が求まります。
定数の導関数
最後に補足として定数
$$ \large{ f(x) = C }$$
の導関数を考えます。上記と同様に導関数定義に代入すると
\(= \displaystyle \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h}} \)
導関数定義式
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{ \CB{C – C} }{h} \)
f(x)=Cを代入
\(= 0 \)
となります。xがなんであれ、f(x)=f(x+h)=Cなので、上記の通り導関数は0となります。微分すると、定数は消せるわけです!
基本的に上記の式の組み合わせで多項式(n次関数)の導関数は計算できる!
上記の式は\(定数C,x,x^2,x^3,x^n\)という基本的な関数の微分の求め方でしたが、これを利用してどんな多項式(n次関数)の導関数も計算できます。
それは、次の記事で詳しく説明/証明していますが、導関数(微分)には
$$ \large{ (f(x) \pm g(x))’ = f'(x) \pm g'(x) }$$
と
$$ \large{ (a \cdot f(x))’ = a \cdot f'(x) }$$
という法則があるからです。これを導関数の線形性といいます!簡単にいうと「関数が複数の項に別れてたら、それぞれで微分すれば良い」「関数がa倍されてたら、微分もa倍すればよい」ということです。
例をあげると、\( f(x) = 2x^3 -3x^2 +4x +5 \)は
\( = (2x^3)’ – (3x^2)’ + (4x)’ + (5)’ \)
\(= 2(x^3)’ -3 (x^2)’ + 4(x)’ + (5)’ \)
\( = 2 \cdot 3x^2 -3 \cdot 2x + 4 \cdot 1 \)
\( = 6x^2 -6x + 4 \)
と計算できます。多項式を微分をするときには、1)項ごとに分けて、2)係数を前に取り出し、3)\( x^3,x^2,x \)など基本的な関数を上記の式に当てはめて微分、という手順でやれば計算可能なんです!慣れれば簡単です!
実際に導関数(微分)がどんな形になるのかシミュレーターで確かめよう!
上記のように、多項式のn次関数は簡単に微分することが可能です。ただ式で見ているだけで、実際にどのような導関数(微分)になるのかイメージが付きませんよね。また、上記の他に指数関数や対数関数などより複雑な関数の微分もあります。
そこで、「各関数の接線の傾きが、導関数(微分)の値と一致する」ことを分かりやすく体験できるシミュレーターを作りました!関数のパラメタを変更しながら、導関数が作られていく様を確認できます!
- n次関数の微分は\( (x^n)’ = (n)x^{n-1}\)と定型的に求められる
- 導関数の線形性を使えば、様々なパターンの多項式を微分することが可能
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