加法定理(cos/sin/tan)をシミュレーターで理解しよう![数学入門]
このページでは簡単に数学の関数の一つである三角関数(cos,sin)について、より分かりやすく解説しています!
今回は加法定理です。加法定理は別記事で解説する「倍角の公式」や「複素数平面」でものすごく意味を持つ強力な定理です!
シミュレーターでその意味を理解しておきましょう!
目次
加法定理とは
加法定理とは↓の3つの式のことを言います。cos/sin/tanに対してαとβを足し算/引き算が、求められるんです!
$$ \displaystyle cos(α \pm β) = cosαcosβ \mp sinαsinβ $$ $$ \displaystyle sin(α \pm β) = sinαcosβ \pm cosαsinβ $$ $$ \displaystyle tan(α \pm β) = \frac{tanα \pm tanβ}{1 \mp tanαtanβ} $$
なぜこれが成り立つのかを以後説明していきます!
加法定理の証明
加法定理の証明は↓のように4つのステップを踏みます。ただ、一番需要なのは「step1: cos(α- β)式の証明」で、あとはそれを各式に展開するだけです。
step2: cos(α+β)式への展開
step3: sin式への展開
step4: tan式への展開
step1: cos(α- β)式の証明
今、↓のように単位円上に角度αと角度βの角があるとします。今回はこの間の角「α – β」に着目します。
そして、この「α – β」を↓のように0度の位置まで回転させる事を考えます。
この時、あたりまえですが↑のABとCDの長さは同じになります。両方とも「α – β」と角度は同じで、ただ回転させただけですから!
そして、この「AB=CD」をもとにすれば加法定理が求められるんです!
ABとCDをsin,cosを使って定式化すると↓のようになります。
\( = cos^2β + cos^2α -2cosβcosα + sin^2β + sin^2α -2sinβsinα \)
↓ \(cos^2θ + sin^2θ = 1\)の公式
\( = -2cosαcosβ -2sinαsinβ +2 \)
\( = cos^2(α-β) +1 -2cos(α-β) + sin^2(α – β) \)
↓ \(cos^2θ + sin^2θ = 1\)の公式
\( = -2cos(α-β) +2 \)
上記の考察の通り、AB=CDのはずなので
\( -2cosαcosβ -2sinαsinβ +2 = -2cos(α-β) +2 \)
↓整理
\( cos(α-β) = cosαcosβ + sinαsinβ \)
となりcos(α- β)の加法定理が証明できます!
step2: cos(α+β)式への展開
コチラのページで解説している負角定理を使います。
\( cos(-θ)= cos(θ)\)
\( sin(θ) = – sin(θ)\)
cos(α+β)を式変形していくと、、
↓マイナスの加法定理適応
\(= cosαcos(-β) + sinαsin(-β)\)
↓負角定理適応
\( = cosαcosβ \ – \ sinαsinβ \)
という式が成り立ちます。故にcosについてまとめると↓の加法定理が成り立つと言えるんです!
step3: sin式への展開
さらにコチラのページで解説した余角定理↓を使ってsinに変換してみます。
\( sinθ = cos(90 – θ)\)
\( cosθ = sin(90 – θ)\)
これを使って\( cos(90 – (α \pm β))\)を計算してみると、、
\( = cos(90 – α)cosβ \pm sin(90 – α)sinβ\)
↓負角定理で変換
\( = sinαcosβ \pm cosαsinβ\)
↓\( sinθ = cos(90 – θ)\)なので
\( sin(α \pm β) = sinαcosβ \pm cosαsinβ \)
とsinについての式も導けます!
step4: tan式への展開
tanは\(\large tanθ = \frac{sinθ}{cosθ}\)なのでこれに↑で導出した式をいれればOKです!
↓ cosθとsinθの加法定理適応
\( \Large = \frac{sinαcosβ \pm cosαsinβ}{cosαcosβ \mp sinαsinβ} \)
↓ cosαcosβで分母分子を割る
\( \Large = \frac{\frac{sinα}{cosα} \pm \frac{sinβ}{cosβ}}{1 \mp \frac{sinαsinβ}{cosαcosβ}} \)
↓各項を\(tanθ = \frac{sinθ}{cosθ}\)で変換
\( \Large = \frac{tanα \pm tanβ}{1 \mp tanαtanβ} \)
式を導出してる過程でcosαcosβで割っているのを見ればわかる通りですが、cos=0となるα=90度 or β=90度の時にはtanの加法定理は直接計算できないため、純粋にcosとsinから算出したほうが良いです。
このように、cosに関する公式に余角定理などを適応していけばsin,tanの式も導けるんです!
シミュレーターで加法定理が成り立つことを確認しよう!
加法定理(引き算)シミュレーター
まず↓のαとβの引き算側の定理をシミュレーターで確認します。
\( \displaystyle cos(α – β) = cosαcosβ + sinαsinβ\)
\( \displaystyle sin(α – β) = sinαcosβ – cosαsinβ \)
\( \displaystyle tan(α – β) = \frac{tanα – tanβ}{1 + tanαtanβ} \)
- ↓でαとβの角度を指定すると「α – β」を加法定理から計算します
- αを赤色、βを青色、そして「α – β」の角度領域を緑色で角度表示します
- 加法定理の計算結果が成り立つことを確認しましょう(小数点2桁表示しているため、微小の誤差はあります)
- tan90,270は本来計算できないのですが、ここでは∞としてとりあえず算出しています
cos()==0.0
加法定理(足し算)シミュレーター
次はαとβの足し算側の計算を確認してみましょう!
\( \displaystyle cos(α + β) = cosαcosβ – sinαsinβ \)
\( \displaystyle sin(α + β) = sinαcosβ + cosαsinβ \)
\(\displaystyle tan(α + β) = \frac{tanα + tanβ}{1 – tanαtanβ}\)
- ↓でαとβの角度を指定すると「α + β」を加法定理から計算します
- αを赤色、βを青色、そして「α + β」の角度領域を緑色で角度表示します
- 加法定理の計算結果が成り立つことを確認しましょう(小数点2桁表示しているため、微小の誤差はあります)
- tan90,270は本来計算できないのですが、ここでは∞としてとりあえず算出しています
cos()==0.0
- 角度αとβの足し算引き算に相当するcos/sin/tanは、αとβの三角関数を使って定理から求められる
- この加法定理は様々なところで応用される大事な定理です
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