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「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」の違いって何?シミュレーターを用いて解説します![物理入門]

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物理の力学で習う一番重要な項目として「運動量保存則」と「物理エネルギー保存則」があります。この2つ、、、微妙に似ていますよね。でも、その関連性が微妙に分かりにくいです、、、><

ということで今回はこの2つの違いを、出来る限り分かりやすい形で説明していきます!

「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」の違いって何?シミュレーターを用いて解説します![物理入門]

「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」の定義の違うは「何で積分するか」の違い!

結論から述べると、この2つの違いは↓の基本原理をどう変形するかの差です。つまり、↓のニュートンの法則こそ、全ての根本といえる法則なんです!

ニュートンの法則

\( \displaystyle ma = F \)

  • m : 物体の質量[kg]
  • a : 加速度[\(m/s^2\)]
  • F : かかっている力[N]

そして、2つの法則の違いは↓の通りです。

2つの保存則の違い

両辺を時間tで普通に積分 ⇒ 運動量保存則
両辺に\(\large{v=\frac{dx}{dt}}\)をかけて位置xで積分 ⇒ 物理エネルギー保存則

つまり、上記のニュートンの法則を何で積分するかによって、どちらの保存則になるかが変わるだけなんです!積分の概念が入ってきてややこしいので、2つを解説していきます!
 

POINT「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」は違う観点で積分した、兄弟みたいなもの!

運動量保存則(時間tで普通に積分)

まずは運動量保存則から導きます。

これは、普通に両辺を時間tで積分すれば良いだけです。左辺については、加速度aは\(a=\frac{dv}{dt}\)であり、速度vを微分したものといえます。

ニュートンの法則を時間tで積分

\( \displaystyle \int ma dt = \int F dt \)
↓ \(\large{a=\frac{dv}{dt}}\)を代入
\( \displaystyle \int m\frac{dv}{dt} dt = \int F dt \)

なので、左辺を積分すると↓のように変形できます。(v_{後} – v_{前})は運動変化前後の速度vの変化量です。
これこそが運動量保存則です。右辺は\( \int F dt \)であり、「力Fを時間tで積分した値」です。つまり力積です。

運動量保存則(2つの物体間)

\( \displaystyle m(v_{後} – v_{前}) = \int F dt \)

ちなみに、一般的な↓という形式は、「作用反作用の法則」から、「物体1が受ける力=物体2が受ける力」となることを用いれば、上記の運動量保存則から導けます。

運動量保存則

\( \displaystyle m_1 v_{1前} + m_2 V_{2前} = m_1 v_{1後} + m_2 V_{2後} \)

とにかく↑のベースとなる式は、「ma=F」という一番重要な式を、時間tで積分すると導けるんです
 

POINTma=Fを普通に時間積分すると、運動量保存則が導ける!

運動エネルギー保存則

エネルギー保存則は、↑とは違い、右辺をxで積分します。ただ、そのために↓のように「両辺をv=\(\frac{dx}{dt}\)でかける」ことが必要です。

ニュートン法則にvを乗算する

\( \displaystyle mav = Fv \)

なぜなら、両辺とも時間tに関する関数になっているため、「時間tの世界から位置xの世界に変換する」ことが必要だからです。

そして、それこそがvの役割です。速度vは「時間⊿tに対して、位置xが⊿tの何倍変化したか」を示す概念です。つまり、速度vに⊿tをかけると、位置の変位⊿xが計算できるのです!

詳しくは、こちらの合成関数の積分として考える必要があるのですが、このv=\(\frac{dx}{dt}\)をかけると、tの積分をxの積分に変換できるんです

すると↓のように式は変形できます。右辺は目的どおり、位置xでの積分となりました!

両辺をtで積分

\( \displaystyle \int mav dt = \int Fv dt \)
↓ \(\large{v = \frac{dx}{dt}}\)を代入
\( \displaystyle \int mav dt = \int F dx \)

あとは、左辺を積分するだけです。これは\(a=\frac{dv}{dt}\)であり、合成関数の微分法則から\((v^2)’=2v*\frac{dv}{dt}\)となるため、、、

\( \displaystyle \int mav dt = \int F dx \)
↓ \(\large{(v^2)’=2v*\frac{dv}{dt}}\)を前提に左辺を積分
\( \displaystyle \frac{1}{2}m(v_{後}^2 – v_{前}^2) = \int F dx \)

となります。これこそが、物理エネルギー保存則です!右辺は力×距離で「仕事」とも呼ばれます。

物理エネルギー保存則

\( \displaystyle \frac{1}{2}m(v_{後}^2 – v_{前}^2) = \int F dx \)

 

POINTma=Fを変形して距離xで積分すると、運動エネルギー保存則となる!

2つの保存則を比べると、、

2つの保存則を見比べてみると、、、よく似ているのが分かります。右辺の違いは「積分を時間tでおこなうか、位置xで行うか」だけの違いです。

運動量保存則

\( \displaystyle m(v_{後} – v_{前}) = \int F dt \)

物理エネルギー保存則

\( \displaystyle \frac{1}{2}m(v_{後}^2 – v_{前}^2) = \int F dx \)

このように、「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」は兄弟のようなものなのです。それでは、この2つの積分の違いをシミュレーターで確かめてみましょう!

シミュレーターで「時間tでの積分」と「位置xでの積分」の違いをを理解しよう!

上記で説明したように「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」の違いは、「力Fを時間tで積分するか、位置xで積分するか」です。この2つの違いをシミュレーターで理解しましょう!

操作方法
  • 力Fと初速vをスライドバーで指定すると、それに従ってボールが等加速度運動で動き出します
  • 初期位置はx=0で固定です
  • 簡単のためにm=1としてます。そのため、a=Fです
  • 下に「時間tでの積分」と「位置xでの積分」グラフを図示しています。この2つがどのように違うのか確認しましょう
  • 具体的な積分値も黄色枠内に表示します

↓値を変えると、自動的にアニメーションが始まります!

力F
1.0
初速v
0.0

\(\int F dt\) = 0.0 
\(\int F dx\) = 0.0
\(速度v\) = 0.0


再生速度
1.0
↑動的に再生速度を変えられます。左端で0にすると、一時停止となります。

シミュレーション結果:位置xの積分は加速度的に増加する!

このシミュレーションを実行すると、下グラフの位置xでの積分のほうが圧倒的に速く増加するのがわかると思います!これは速度vが増加すると、それだけ1秒の間に移動する量が増え、毎秒でのF積分の増加量が増えてしまうからです。それに対して、時間tでの積分は常に一定速度で加算されています。

これは、等加速度運動ではエネルギーが急激に上昇していくことを示しています。逆に言うと、速度vがあがっていくと、その速度を1上昇させるのに必要なエネルギー量がどんどん多くなっていくということです
初速v=0,m=1で速度10m/sにするのにするのに必要な距離は50mで、速度100m/sにするのに必要な距離は5000mです。このように同じ力Fだと、必要な距離(仕事)は加速度的に増加してくのです!

まとめ:「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」は計算法の違いから生まれる!

「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」の違いは「時間で積分するか」「位置xで積分するか」です。分かりにくいですが、この二つは↑のシミュレーターのように明らかな違いがあります。この違いを理解しておきましょう!
 

まとめ

  • 「運動量保存則」「物理エネルギー保存則」は違う観点で積分した、兄弟みたいなもの
  • ma=Fを普通に時間積分すると、運動量保存則が導ける
  • ma=Fを変形して距離xで積分すると、運動エネルギー保存則となる

 


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