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数学記号Σ(シグマ)をシミュレーションで理解![数学入門]

$$\newcommand\CB[1]{\textcolor{blue}{#1}} \newcommand\CR[1]{\textcolor{red}{#1}} \newcommand\CG[1]{\textcolor{magenta}{#1}}$$

前回までに等差数列等比数列という代表的な数列の説明をしました。
 
このような様々な数列の和を、簡単な式で表したい場合があります。そんな時に便利なのがΣ(シグマ)という記号です。この記号を使うと、複雑で長い数式が一目でわかりやすい式で表せてしまうんです!
 
Σ(シグマ)は数学においてとても重要な記号ですので、詳しく説明していきます!

数学記号Σ(シグマ)をシミュレーションで理解![数学入門]

シグマを用いると、数列の和が簡単に表現できる!

簡単なシグマの例

例として、以下のような数列を考えます。

\( 3,6,9,12,15,18,21 \)

この数列は、数列の並びから

\( a_n = 3n \)

と表わせそうですね。このような数列の和を計算する時に、通常では

\(3 + 6 + 9 + 12 + 15 + 18 + 21 \)

と表記しないといけません。さらに数列が長くなるともっともっと長くなります。辛いですよね。こんな時、各項は\( a_n = 3n \)と表せるのを利用して、

\( \displaystyle \sum_{k=1}^{7} 3k \)

とシグマを用いて表現することが出来ます。このシグマは「3kという数式に対して、k=1から7まで1ずつ変化させながら、全ての合計を計算する」という意味になります。具体的には

\( \displaystyle \sum_{k=1}^{7} 3k = 3 \cdot \CB{1} \)\( + 3 \cdot \CB{2} \)\( + 3 \cdot \CB{3} \)\( + 3 \cdot \CB{4} \)\( + 3 \\ \cdot \CB{5} \)\( + 3 \cdot \CB{6} \)\( + 3 \cdot \CB{7} \)

というふうに展開されます。青字がkが展開された位置です。kを1~7まで変化させながら、全て合計していくという意味なんですね。

ちょっと複雑なシグマの例

上記のような考えでシグマを展開していけばOKです。もうちょっと複雑な例

\( \displaystyle \sum_{k=1}^{5} (k^2 – 3k) \)

を考えてみましょう。考え方は上の例と同じ。kを1~5まで変化させながら、\( k^2 – 3k \)という式に代入していって、全て足し合わせればいいという意味です。kが2つあるので同時にそれぞれの数を代入すればOKです。なので、

\( \displaystyle \sum_{k=1}^{5} (k^2 – 3k) = (\CB{1}^2 – 3 \cdot \CB{1}) \)\( + (\CB{2}^2 – 3 \cdot \CB{2}) \)\( + (\CB{3}^2 – 3 \cdot \CB{3}) \)\( + (\CB{4}^2 – 3 \cdot \CB{4}) \)\( + (\CB{5}^2 – 3 \cdot \CB{5}) \)

がシグマの正しい展開になります。「kに順番に数字を入れていって足していく」だけです。慣れたら簡単です!
 

POINTシグマを使うとパターン的な数列を簡単に表せる!

 

シグマ計算シミュレーター

シグマ表記のイメージをさらに深めるためにシミュレーターを作ってみました。このシミュレーターは

\( S_n = \displaystyle \sum_{k=1}^{n} (ak^2+bk+c)\)

というシグマ数式に対して、a,b,cと項数nを変えて、どのように展開されるのか確認できます!色々パラメタを変化させて、シグマの意味の理解を深めてみて下さい!

a
2
b
1
c
3
n
3

[計算結果(シグマ表記)]
 

シグマに関する重要な公式

上記で説明したシグマに関して重要な性質があります。それがシグマの線形性です。シグマの線形性を示す公式は2つあります。それぞれ、その公式が成立することを確認していきましょう!

シグマの線形性に関する公式1:加法性

公式:シグマは各項に分離できる(加法性)

$$ \large{ \sum_{k=1}^{n} (a_n \pm b_n) = \sum_{k=1}^{n} (a_n) \pm \sum_{k=1}^{n} (b_n) }$$

これはシグマの中の式が複数の項に分かれていた場合、別々のシグマで計算して足し合わせても良いという意味です。具体例を上げると、

\( S_n = \displaystyle \sum_{k=1}^{5} k^2 – 3k = (1^2 – 3 \cdot 1) \)\( + (2^2 – 3 \cdot 2) \)\( + (3^2 – 3 \cdot 3) \)\( + (4^2 – 3 \cdot 4) \)\( + (5^2 – 3 \cdot 5) \)

という式について、

\( S_n = \displaystyle \sum_{k=1}^{5} k^2 – 3k \)\(= \displaystyle \sum_{k=1}^{5} k^2 – \sum_{k=1}^{5} 3k \)\(= (1^2 + 2^2 + 3^2 + 4^2 +5^2) – (3 \cdot 1 + 3 \cdot 2 + 3 \cdot 3 + 3 \cdot 4 + 3 \cdot 5) \)

というように出来るという事です。これはただ単に計算の順番を入れ替えているだけですね。シグマが足し算の演算であるため、その中での足し算の順序は自由なんです!

シグマの線形性に関する公式2:斉次性

公式:数列\(a_n\)にかかる係数Cは外だしできる(斉次性)

$$ \large{ \sum_{k=1}^{n} (C \cdot a_n) = C \sum_{k=1}^{n} a_n }$$

これも、意味を考えれば自明です。以下の例を考えると、、

\( S_n = \displaystyle \sum_{k=1}^{5} 3k \)\(= (\CB{3} \cdot 1 + \CB{3} \cdot 2 + \CB{3} \cdot 3 + \CB{3} \cdot 4 + \CB{3} \cdot 5) \)\(= \CB{3}(1+2+3+4+5) \)\(= \displaystyle 3\sum_{k=1}^{5} k \)

うまく前に定数を外だしできるのが分かります。全ての項に共通して係数3が乗算されているため、外だししてシグマとは別で計算できるわけです。これはシグマを使ったどんな式でも成り立ちます。

シグマの線形性を使うと、簡単にシグマ計算が可能になる!

上記の線形性に関する公式、一見すると特に強い意味はなさそうですが、実はめちゃくちゃ重要なんです。というのも、例えば

\( S_n = \displaystyle \sum_{k=1}^{n} (3k^2 – 2k + 5) \)

という式を計算したい場合、このままでは複雑で計算できません。しかし、上記の線形性の式を使うと、

\(S_n\)
\(= \displaystyle \sum_{k=1}^{n} (3k^2 – 2k + 5) \)
↓加法性により各項に分離
\(= \displaystyle \CB{\sum_{k=1}^{n}(3k^2)} – \CB{\sum_{k=1}^{n}(2k)} + \CB{\sum_{k=1}^{n}(5)} \)
↓斉次性により係数を外だしにする
\(= \displaystyle \CB{3}\sum_{k=1}^{n}(k^2) – \CB{2}\sum_{k=1}^{n}(k) + \CB{5}\sum_{k=1}^{n}(1) \)

と変形できるわけです。つまり、

\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(k^2)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(k)\)
\(\displaystyle \sum_{k=1}^{n}(1)\)

の3つさえ分かれば、上記の式はすぐに計算可能なわけです。そして、この3つはシグマに関する公式になっており、それさえ覚えておけばすぐに計算できてしまうわけです! この証明については、次回記事で解説したいと思います><
 

まとめ

  • シグマを使うとパターン的な数列が簡単に表記できる
  • シグマ計算には加法性/斉次性があり、うまく使うとパターン的に計算できる

 

[関連記事] 数学入門:数列
3.数学記号Σ(シグマ)とその使い方(本記事)


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