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「ラザフォードの原子模型」軌道半径をシミュレーターで理解しよう![物理入門]

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コチラの化学の記事で、原子とはどういう構造なのかを説明しています。ただし、実際の原子はもう少し複雑な条件を満たしながら動いています。

今回はそのモデルである「ラザフォードの原子模型」について、シミュレーターを用いて解説していきます!

「ラザフォードの原子模型」軌道半径をシミュレーターで理解しよう![物理入門]

おさらい:「ラザフォードの原子模型」とは

ラザフォードの原子模型とは「電子は原子核の周りを自由な軌道で回れるのではなく、一定の条件を満たさないと安定的に存在できない」という仮説を置いたものです。

実際に原子は連続的なエネルギーを持たず、とびとびのエネルギーしか持てないのです。そのため、↑のように何らかの存在条件があるのではと考えたわけです。

その条件とは↓のものです。これを「量子条件」といいます。

ラザフォードモデルの量子条件

電子は波のように揺れており、電子が円上に周回しても同じ軌道をとる場合に安定して存在可能になる

波の波長λ×定数倍n = 2πr

  • \(r\) : 電子の軌道半径

これは↓のような状況になります。赤線が電子の軌道になります。電子は円上を周回しながら、↓のように左右に波のように揺れながら動いているんです。このときに、2周目、3周目に入っても同じ軌道をとって周回するときにだけ、安定的に電子が存在できるというのが量子条件です。

そして、これを満たすのは「円周の長さ 2πr」が「左右に揺れる波の波長」の定数倍になるときなんですね!

この条件を満たさない場合は↓のように、2周目3周目と違う軌道をとってしまいます。この場合電子は不安定になり、別の軌道に移動しようとするんですね。だからこそ、安定的な軌道はとびとびの位置にしかないんです。

「ラザフォードの原子模型」の半径を求めてみる

↑のように電子が存在できる軌道半径rは限られています。この半径rがどのような値になるかを求めていきます。

まず↑で解説したように量子条件を満たす必要があります。

量子条件

λ×定数倍n = 2πr

  • \(λ\) : 波の波長
  • \(r\) : 電子の軌道半径

後の記事で解説しますが、電子の波長λは↓のような形で表すことができます。速度に反比例して、波長が変わるわけです。

電子の波長

\(λ = \frac{h}{mv}\)

  • \(h\) : プランク定数
  • \(v\) : 電子の速度
  • \(m\) : 電子の質量

そのため、量子条件から電子の速度は↓のように求められます。

量子条件の電子速度

\(λn = 2πr \)
↓「電子の波長」の代入
\( \displaystyle \frac{hn}{mv} = 2πr \)
↓変形
\( \displaystyle v = \frac{hn}{2πmr} \)

ここで、電子にかかる力を円運動的に考えてみると、↓のように半径rが求められます。

円運動時にかかる力の釣り合い

\( \displaystyle ma = \frac{ke^2}{r^2} \)
↓円運動時にかかる加速度は\(\frac{v^2}{r}\)
\( \displaystyle \frac{mv^2}{r} = \frac{ke^2}{r^2}\)

  • \(v\) : 電子の速度
  • \(m\) : 電子の質量
  • \(r\) : 電子の軌道半径
  • \(k\) : クーロン力係数

この式に量子条件の速度vを代入すると、半径rを求めることが出来ます。

円運動の半径r

\( \displaystyle \frac{mv^2}{r} = \frac{ke^2}{r^2}\)
↓「量子条件の電子速度」代入して
\( \displaystyle \frac{h^2n^2}{4π^2m} = ke^2r \)
↓変形
\( \displaystyle r = \frac{h^2}{4π^2mke^2}n^2 \)

前回記事解説の通り、nは1,2,3….と整数の値をとります。そのため、半径rは量子数nの二乗に比例した値をとることになります。
↓のように\(n^2=1,4,9,16,25…\)に比例する半径に、電子が存在することになるんですね!

ちなみに、上記の速度vの式にこの半径rの式を代入すると、速度vは量子数nに反比例することが分かります。量子数nが大きくなり、外側の円になるほど、速度が遅くなるんですね!

「ラザフォードの原子模型」をシミュレーターで確認してみよう!

それでは「ラザフォードの原子模型」で量子数n=1,2,3…のときに半径rと速度vがどのように変化するか実際に確かめてみましょう!

半径/速度ともに量子数n=1のときを1.0として表示します。

シミュレーターの説明
  • ↓のスライドバーで量子数nを変更すると、波長λ = 2πr/n の条件で電子が動き始めます(nは整数のみ指定可能)
  • 半径は\(n^2\)に比例し、速度はnに反比例することを確かめてみましょう!
半径r : 0.0
速度v : 0.0

量子数n
1

まとめ:電子の軌道半径は、整数nの二乗に比例する!

↑のシミュレーターを動かすと、量子数nの二乗に比例して軌道半径rが大きくなっていくことが分かります。

このように、電子が動ける軌道は限られたものになっているんですね!

[関連記事] ラザフォードの原子模型モデル
2.電子の軌道半径/速度(本記事)


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