グループ分け(組み合わせの発展)をシミュレーターで理解しよう![数学入門]
この記事では、「組み合わせ」の発展型であるグループ分けについて詳しく説明していきます!
前回記事では、「n個のクジから、r個を引く組み合わせのパターン」について考えていました。今回はここから発展して、「n個のクジ(人)を複数のグループに分ける時のパターン数」について考えていきます。
基本的には組み合わせ(C記号)を使えば解けますが、やや発展的な考えが必要になります!
目次
前提:グループ分けのパターン数は「グループに名前をつけるか、否か」で変わってきます
まず、グループ分けのパターン数を考えるにあたり、大事な考え方があります。それは「グループ名に名前をつけるかどうか」という点です。
その違いにより「1)グループに名前をつけるパターン」「2)グループに名前をつけないパターン」の2つに分けられます。その違いは、
10人をグループAに3人、グループBに4人、グループCに3人の3グループに分ける
10人を3人、4人、3人の3グループに分ける
という違いです。同じように見えますが、全く違います。以後シミュレーターを使ってこの2パターンを解説していきます
「1)グループに名付けするパターン」の組み合わせパターン総数
方針:単純に各グループを順番にクジ引きで決めていけばよい
まず「1)グループに名付けするパターン」ですが、これは単純です。前回記事でクジ引きで例として「9つから3つを選択する場合」を考えましたが、これをグループを決定する度にやればOKです。
例えば、↓の例を考えると、、、
[1)グループに名付けするパターン]
10人をグループAに3人、グループBに4人、グループCに3人の3グループに分ける
↓以下のような手順で決定できるはずです。
手順1. 10個のクジから3個引いて、グループAの3人決定
手順2. 残り7個のクジから4個引いて、グループBの4人決定
手順3. 残り3個のクジから3個引いて、グループCの3人決定
手順3は省いても良い手順です。残りの人全員グループCで自明なので。この場合の組み合わせ数は、単純に各手順の組み合わせ数をかけるだけです。つまり、上の例の組わせ数は
\( \displaystyle {}_{10} C_3 \cdot {}_{7} C_4 \cdot {}_3 C_3 \)
\( = 120 \cdot 35 \cdot 1 \)
\( = 4200 \)
となります!
[1)グループに名付けするパターン]シミュレーターで理解しよう!
上記で説明した考え方を、実際にシミュレーターで動かして確認出来るようにして見ました!
- 3つのスライドバーでグループA,グループB,グループCの人数を変動させると、実行開始します
- クジ引きによって、各グループへのグループ分けが始まります(ボールの番号が、人の番号だと思って下さい)
↓色々値を変えて、実行してみましょう!
…
上記で示した考え方の通り、グループ名に名前がついている場合はこのシミュレーターのように、順番にクジを引いて組み合わせ数をかけあわせればよいだけです!
[2)グループに名付けしないパターン]の組み合わせパターン総数
方針:[1)グループに名付けするパターン]のように組汗数を求め、グループ間で重複する数で割る
上記の通り、[1)グループに名付けするパターン]は単純に順番にクジを引くだけでした。しかし、[2)グループに名付けしないパターン]の場合はそれだけだと重複カウントが発生する可能があるんです。それは以下のようなパターンの場合です。
上記の例では、「10人を3人、4人、3人の3グループに分ける」を実行しています。このとき、今までと同様にクジを引いて各グループのメンバーを決めていけばよいのですが、、、、
上記例の1つ目グループと3つ目グループは同じ人数なんで重複が発生するんです。上の例では1つ目グループを「5,9,3」、3つ目グループを「4,10,8」と組分けしていました。しかし、1つ目グループを「4,10,8」、3つ目グループを「5,9,3」をした場合も、同じパターンとみなせるのです。これは「グループに名前がない」からです。[1)グループに名付けするパターン]の場合はグループ名に名前があったので入れ替えたら別パターンとカウントされますが、[2)グループに名付けしないパターン]の場合は同一とみなされます。そのため、「入れ替えられるグループパターン数で割って、重複カウント削除する」必要があるんです。
ですのでパターン数の求め方は
手順1. 10個のクジから3個引いて、最初グループの3人決定
手順2. 残り7個のクジから4個引いて、2つ目グループの4人決定
手順3. 残り3個のクジから3個引いて、3つ目グループの3人決定
手順4. 1つ目と3つ目のグループが同数で入れ替え可能なので、重複カウント数\( {}_{2} P_2 \)で割る
です。実際のパターン総数は
\( \displaystyle \frac{{}_{10} C_3 \cdot {}_{7} C_4 \cdot {}_3 C_3}{{}_{2} P_2} \)
\( = \displaystyle \frac{120 \cdot 35 \cdot 1}{2} \)
\( = 2100 \)
となります!重複パターン数は、同一人数グループの数の順列パターン数\( \large{{}_{重複グループ数} P_{重複グループ数}} \)で決まるのがポイントです!
[2)グループに名付けしないパターン]をシミュレーターで理解しよう!
上記で説明した考え方を、実際にシミュレーターで動かして確認出来るようにして見ました!
- ↓の3つのスライドバーで1つ目,2つ目,3つ目のグループ人数を変動させると実行開始されます
- 各グループへのクジ引きが始まります(ボールの番号が、人の番号だと思って下さい)
- 最後に入れ替え可能なグループが黄色で表示されます
- 同じ人数のグループがあると重複カウントが発生して、その分割らないといけないことに注目して下さい
色々値を変えて、実行してみましょう!
…
[同一数グループでの重複数]
…
[最終的な組み合わせパターン数]
…
まとめ:グループ分けはクジを何回も引いていけばよいだけ。ただし名前無しグループ分けか否かで場合分けが必要!
説明してきたとおり、グループ分けの考え方は組み合わせの発展で計算できます。基本的には何度もクジを引いていって決めていけばOKです。
ただし、グループを決める時に「そのグループに名前がついているか否か」を考慮しないといけません!そこに注意して上記のシミュレーターのようにパターン数を計算していきましょう!
- 「1)グループに名付けするパターン」は各グループで\({}_n C_x\)をかけていけば良い
- 「2)グループに名付けしないパターン」の場合は、最後に同数のグループの組合わせに対して、重複分を割らないといけない
⇒「順列/組み合わせ」カテゴリ記事一覧
その他関連カテゴリ