化学結合エネルギーをシミュレーターを用いて解説！[化学入門]

2022-05-24　 化学結合

前回までの記事で、化学結合について説明していきました。

今回からはその化学結合のエネルギーについてシミュレーターを用いて解説していきます！

おさらい：共有結合 = 2つの原子が電子を共有することでオクテット則を満たそうとする結合

前回の記事では「電子が余分にあるもの、不足してるもの同士で電子を受け渡す」イオン結合について説明しました。電子を受け渡しすることで、オクテット則を満たそうとするのです。

しかし、共有結合では少し無理やりな方法でオクテット則を満たそうとします。その方法は↓の通りです。

例えばフッ素原子は↓のように価電子7で不安定なのですが、

2つのフッ素原子が共有結合すると、↓のようになります。黄色部分が共有結合です。

このように共有結合すると「黄色部分は両方の原子共有であり、両方の価電子とみなす」ようになるわけです。
そのように数えると、、、両方のフッ素で価電子が8になり、安定するんです！なんだかズルいようにみえますが、実際このような共有結合の形をとると電子が安定するんです。

結合エネルギー = ２つの原子結合を切り離すために必要なエネルギー

今まで様々な化学結合について説明してきましたが、実は結合している状態のほうがエネルギー的に低い状態であり、安定した状態なのです。

↓の図がそれを示したものです。青丸は原子を示しています。縦軸が原子/分子が持つエネルギー量を示しています。図にある通り、一般的にエネルギーは「乖離状態　＞　結合状態」になるんです。２原子が結合している状態より、乖離してバラバラの状態のほうがエネルギーが高いんです。

逆にいうと「結合している原子は、エネルギーを加えないと切り離せない」ということです。それぐらいガッチリ結合してるということなんですね。

そして、↑図のエネルギー差が「2つの原子を切り離すために必要なエネルギー」であり、つまり「結合エネルギー」であるんです！

シミュレーターで結合エネルギーと乖離/結合状態の差を確認してみよう！

それでは、↑のような関係性を持つ「乖離/結合状態」の原子/分子の関係性をシミュレーターで確認してみましょう！

「乖離/結合」ボタンを押すと、原子が結合と乖離が切り替えられます。原子結合するとエネルギーが低くなることを確認してみましょう！

↓ボタンを押してみてください！

結合エネルギーの要点

簡単に原子の結合エネルギーについて要点をまとめます。

バラバラの状態のほうがエネルギーが高いが不安定

これは↓の図を見れば分かることですね。バラバラの乖離状態だと原子は高いエネルギー状態になります。この状態は不安定な状態であり、原子は低いエネルギーになって安定化しようとします。

原子にとって、エネルギーが低い状態のほうが落ち着くんです！

原子が結合すると、エネルギーを放出 = 発熱する

シミュレーターを動かすとわかりますが、乖離状態の原子を結合させると、↓図のように低いエネルギーに移動していきます。この時に、この差分のエネルギーは発熱という形で外部に放出されるんです。これを「発熱反応」といいます。

　

[関連記事] 化学反応

1．化学結合エネルギー(本記事)

2．化学反応/活性化エネルギー

3．化学反応速度・化学平衡

4．2原子足し合わせの化学反応速度

[関連記事] 化学結合

1．イオン結合

2．共有結合の原理

3．共有結合による分子構成、原子価

4．電気陰性度

5．金属結合「自由電子」「熱伝導性/導電性」

6．金属結合「光沢性/展延性」

7．水素結合

8．化学結合エネルギー(本記事)