熱の移動と熱平衡をシミュレーターを用いて解説![物理入門]
前回の記事で、温度が分子の移動速度と関連があることを説明しました。
今回は、その温度に変化をもたらす熱平衡について解説していきます!
目次
熱は「高温」から「低温」に移動していく!
2つの物体があるとき、温度の差があると熱の移動が起きます。この時重要なのは、必ず「高温の物体」から「低温の物体」に熱が移動していくという事です。
↓のように2つの物体があると、図の矢印の方向に熱は移動します
「低温」から「高温」に熱が移動することはない!
ここで重大なのは、「低温」から「高温」に熱が移動することはないということです。例えば↑の例でいうと、0度の物体が-20度になり、100度の物体が120度になったりは出来ないということです!
この性質はとても重大なことです!2つの温度の差が広がるような方向に、熱が移動することはないという事です。
熱移動の結果、時間が経つと同じ温度になる!(熱平衡)
もう一つ重要な性質は「2つの物体の熱の移動により、長時間経つと同じ温度になる(熱平衡)」という性質です。2つの物体に温度の差がある限り、熱の移動が発生します。そして、熱の移動が発生すると、温度の差が縮まります。これを繰り返すので、、、最終的に2つの物体は同じ温度になるんです!
これを「熱平衡」といいます。
↓2つの温度の差がなくなっていき、最終的には同じ温度になっていきます
熱の移動はエネルギーの移動
上記のように熱は「高温」から「低温」に移動していきます。この時に、分子の目線から見ると、分子運動の激しさが変わっていく事になります。高温側は動きの激しさが減少し、低温側は運動の激しさ/速度が増していきます。激しい動きをしてるほど、物体の接触面を押す力が強くなり、その結果低温物質にエネルギーが受け渡されるのです。
分子運動の目線で見ると、高温物質から低温物質への運動エネルギーを受け渡している事になるんです。これこそが、熱の正体であり、熱の移動は物理エネルギーの移動と同等なんです。
ですので、物理学では熱の量を、エネルギーと同じくJ(ジュール)で表します。
熱Q (J)
この熱の移動/エネルギーの移動は、両物質の速度が同等になるまで続きます。つまり、熱平衡とは両方の物質の運動エネルギーの移動が終わり、同等の分子の動きの激しさとなった状態と言えます。
シミュレーターで熱の移動と熱平衡を確認しよう!
上記で解説した「熱の移動」と「熱平衡」をシミュレーターを用いて理解しましょう!
- 100度の高温の物体と、0度の低温の物体があります
- 「結合/分離」ボタンを押すと、右側の低温物体をくっつけたり離したりできます
- それによって熱の移動が起こることを確認しましょう
- 物体の温度表示として、「赤/青のグラデーション色で示すモード」「分子の動きで表示するモード」の2つを切り替えられます
- リセットボタンで状態を初期化し、最初から実験できます
↓「結合/分離」ボタンを押して、実験してみましょう!
温度表示色表示
分子表示
次回は熱容量について解説します!
今回は熱の移動と熱平衡について解説しました。2つの違う温度を持つ物体があるとき、熱の移動が起こります!熱の移動は「高温→低温」という一方向で流れていきます。また、同じ温度になるまで熱の移動は起き続けます。
今回の例では、両物体の中間の50度で熱平衡が起きていました。しかし、物体の性質により、その熱平衡の温度は異なります。次回は、この熱平衡の温度がどのように決まるのか、「熱容量」という概念を用いて解説していきます!
- 熱の移動により、2つの物体は同じ温度になる
- 必ず高温物質 → 低温物質という流れで熱は移動する
- 熱の正体はエネルギー
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