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漸化式をシミュレーションで理解![数学入門]

$$\newcommand\CB[1]{\textcolor{blue}{#1}} \newcommand\CR[1]{\textcolor{red}{#1}} \newcommand\CG[1]{\textcolor{magenta}{#1}}$$

前回まで、等差数列等比数列の例を用いて、数列とはなにかを説明してきました。今回はその数列の法則を示すための手段としての「漸化式」について説明します!
 
漸化式を使うと、より複雑な関係を持つ数列を表すことが出来るんです!
漸化式をシミュレーションで理解![数学入門]

漸化式とは「数列の隣同士の関係を式で表したもの」

では「漸化式」とは何かを説明します。まず、漸化式の例を示します。

[漸化式の例]
\( a_{n+1} = 2a_{n} -3 \)

これが漸化式です。この数式の意味は「n+1番目の数列は、n番目の数列を2倍して3引いたものだよ」という意味です。n+1番目の項とn番目の項の関係を表しているわけです。このような「数列の隣同士の関係を式で表したもの」を漸化式と言います
 
この漸化式、非常に強力です。何故なら、初項\(a_1\)さえ分かれば、数列全てを計算できるからです。上記漸化式が成り立つとして、初項が

\( a_{1} = 2 \)

の時を考えます。この時、漸化式にn=1を代入してみると

\( a_{2} = 2a_{1} -3 \)

という式が出来上がります。これに\( a_{1} = 2 \)を代入すると、

\( a_{2} = 2a_{1} -3 = 1 \)

となります。後は同じ要領で、

\( a_{3} = 2a_{2} -3 = -1 \)
\( a_{4} = 2a_{3} -3 = -5 \)
\( a_{5} = 2a_{4} -3 = -13 \)

 

POINT漸化式は初項さえわかれば、全ての項が計算出来る!

漸化式シミュレーター!数値を入れて漸化式の計算過程を確認してみよう!

上記のような便利な漸化式、実際に数値を色々変えて見て、その計算過程を確認してみましょう!今回は例題として、

\( a_{1} = \displaystyle a1 \)
\( a_{n+1} = \displaystyle b \cdot a_{n} +c \)

という漸化式を使います。↓でa1(初項)やb,cのパラメタを変更すると、シミュレーターが\(a_1\)から計算を始め、その値を使って\(a_2,a_3,a_4\)と計算していきます。色々パラメタを変えて実験してみて下さい!

a1
2
b
1
c
2

[計算結果(漸化式表記)]
\(a_1=\)
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 

POINT漸化式は1から順に計算していけば良い!

典型的な漸化式のパターン

上記のシミュレーターのように色んな数式がこの漸化式で表現できます。
そんな中でも、特徴的な一部のパターンについて解説しておきます。

等差数列パターン(b=1)

1つ目がこの「等差数列」パターンですね。実は、上記のシミュレーターでいうb=1の場合、つまり

\( a_{n+1} = a_{n} +c \)

という式の形式になっている場合は「等差数列」になっています。何故なら、毎回「+c」だけするため、各数列の項の差は等しくなるのです。そしてこのcが交差となるわけです。

↓\( a_{n+1} = a_{n} -3 \)の例。等差数列になっているのがわかるかと思います

[実際の例]
\( a_{1} = 2 \)
\( a_{2} = a_{1} -3 = -1 \)
\( a_{3} = a_{2} -3 = -4 \)
\( a_{4} = a_{3} -3 = -7 \)

等比数列パターン(c=0)

上記とは逆にc=0の場合、つまり

\( a_{n+1} = b \cdot a_{n} \)

という式の形式になっている場合は「等比数列」になっています。何故なら、毎回「b」乗算するだけのため、各数列の項の比は等しくなるのです。そしてこのbが公比となるわけです。

↓\( a_{n+1} = 2 \cdot a_{n} \)の例。公比数列になっているのがわかるかと

[実際の例]
\( a_{1} = 3 \)
\( a_{2} = 2 \cdot a_{1}= 6 \)
\( a_{3} = 2 \cdot a_{2}= 12 \)
\( a_{4} = 2 \cdot a_{3}= 24 \)

 

POINT漸化式を使うと、等差数列も等比数列も簡単に表すことが出来る!

他にも複雑な漸化式のパターンがあります!

上のシミュレーターで用いた\( a_{n+1} = \displaystyle b \cdot a_{n} +c \)は簡単な例として今回扱いましたが、もっと複雑な漸化式もあります。例えば

\( a_{n+1} = \displaystyle 2 \cdot a_{n} + 2n \)

といった、演算の中にnが出てくる漸化式等があります。これは少しだけ解を得るのが複雑になります。

また、別のタイプの複雑な漸化式として「1つ前だけでなく、2つ前の数列項の値も計算に必要になるもの」があります。例えば、

\( a_{n+2} = \displaystyle 2 \cdot a_{n+1} + 3 \cdot a_{n} -2 \)

といったものです。これはn+2の数列項を求めるのに、n+1とnの数列項が必要になるものです。前回の数列計算結果だけでなく、前々回の結果も必要になるわけです。
この場合、漸化式と合わせて初項\(a_1\)だけでなく、2項目\(a_2\)も計算に必要になります。何故なら、

\( a_{3} = \displaystyle 2 \cdot a_{2} + 3 \cdot a_{1} -2 \)

となるため、\(a_1\)だけでは\(a_3\)が計算できないからです。
 
このような複雑な漸化式もあります。こういったものは後に別記事で解説していく予定です!(._.)
 

まとめ

  • 漸化式は前後の数列を関係式で表したもの
  • 表現力が高く、等差数列や等比数列も表現できる
  • 基本的には1から計算していけば、数列は求められる

 


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