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微分の考え方:導関数(微分)の公式(線形性)

$$\newcommand\CB[1]{\textcolor{blue}{#1}} \newcommand\CR[1]{\textcolor{red}{#1}} \newcommand\CG[1]{\textcolor{magenta}{#1}}$$

導関数(微分)の基本的な性質について解説していきます!

前回の記事で、導関数(微分)の考え方を説明しました。今回は実際に導関数を求める時に重要な「導関数の線形性」について解説します。

導関数の線形性とは

公式:導関数は各項に分離できる(加法性)

$$ \large{ (f(x) \pm g(x))’ = f'(x) \pm g'(x) }$$

公式:関数f(x)をa倍したら、導関数もa倍される(斉次性)

$$ \large{ (a \cdot f(x))’ = a \cdot f'(x) }$$

の2つの性質のことです。この2つが成り立つと、色んな関数の微分がすぐに計算できるようになるんですね(後述)

本記事では上記2式の証明をしていきます。ここで用いるのは導関数(微分)の定義式

導関数(微分)の定義

$$ \large{ f'(x) = \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h} }$$

です。この式に当てはめれば、自然と上記の2式が成り立つことを証明出来ます!それではさっそく解説していきます!

導関数は各項に分離できる事の証明(加法性)

公式:導関数は各項に分離できる

$$ \large{ (f(x) \pm g(x))’ = f'(x) \pm g'(x) }$$

これは、導関数は各項別々で計算すれば良い、という事を意味しています。
証明は簡単です。

証明

\( (f(x) \pm g(x))’ \)
↓導関数の定義に当てはめ
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{(f(x+h) \pm g(x+h)) – (f(x) \pm g(x) )}{h} \)
↓f(x)項とg(x)項で分離
\(= \displaystyle \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h}} \pm \CB{\lim_{ h \to 0 } \frac{g(x+h) – g(x)}{h}} \)
↓各項f'(x),g'(x)定義そのまま
\(= \CB{f'(x)} \pm \CB{g'(x)} \)

定義に合わせて\( (f(x) \pm g(x))’ \)の導関数を求める式に当てはめると、綺麗にf(x)とg(x)の2つに分離することができます。

\( f(x) = 2x^3 -3x^2 +4x \)という関数の微分は、

\( f'(x) \)
\(= (2x^3 -3x^2 +4x)’ \)
\( = (2x^3)’ – (3x^2)’ + (4x)’ \)

というように、それぞれの項で分けられるという事なんです!

関数f(x)をa倍したら、導関数もa倍されることの証明(斉次性)

定数aに対して、以下の式が成り立ちます。

公式:関数f(x)をa倍したら、導関数もa倍される

$$ \large{ (a \cdot f(x))’ = a \cdot f'(x) }$$

この証明も、導関数の定義に当てはめれば簡単です。

証明

\( ( a \cdot f(x) )’ \)
\(= \displaystyle \lim_{ h \to 0 } \frac{a \cdot f(x+h) – a \cdot f(x)}{h} \)
 導関数の定義に当てはめ
\(= \displaystyle \CB{a} \cdot (\lim_{ h \to 0 } \frac{f(x+h) – f(x)}{h} ) \)
 各項共通の係数aを前だし
\(= a \cdot \CB{f'(x)} \)
 lim以下はf'(x)の定義そのまま

\( ( a \cdot f(x) )’ \)を導関数を求める定義に当てはめると、うまく係数aを前にもってくることが出来ます。分かりやすいですね。

\( f(x) = 2x^3 -3x^2 +4x \)という関数の微分は、

\( f'(x) \)
\(= (2x^3)’ – (3x^2)’ + (4x)’ \)
\(= 2(x^3)’ – 3(x^2)’ + 4(x)’ \)

というように変形可能です。微分では係数を前に持ってくることが出来るわけです。

あとは各関数の導関数に当てはめるだけ!

こうなれば、あとは\(x^3,x^2,x\)等の基本的な関数の導関数を当てはめればOKです。この基本的な関数の導関数は、コチラの記事で解説している通り

公式:各○次関数の導関数(微分)

\( (x^3)’ = 3x^2 \)
\((x^2)’ = 2x \)
\((x)’ = 1 \)

です。そのため、最終的に\( f(x) = 2x^3 -3x^2 +4x \)の導関数は

\( f'(x) = (2x^3 -3x^2 +4x)’ \)
\( = \CB{(2x^3)’} – \CB{(3x^2)’} + \CB{(4x)’} \)
 項ごとに分離
\(= \CB{2}(x^3)’ – \CB{3}(x^2)’ + \CB{4}(x)’ \)
 係数前出し
\( = 2 \cdot \CB{3x^2} -3 \cdot \CB{2x} + 4 \cdot \CB{1} \)
 上記の導関数の当てはめ
\( = 6x^2 -6x + 4 \)

と求める事ができます!


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