二次関数の「平方完成」と平行移動をシミュレーション/図解で理解![数学入門]
前回記事で、二次関数をシミュレーターで使ってその動きを示しました。今回はより二次関数を理解できるように、「平方完成」という概念を解説します!
目次
二次関数の「平方完成」とは
二次関数は↓の形式で表せる関数です。a=0だと一次関数になるため、以後a≠0の前提で説明します。
$$ \large{y = ax^2 + bx + c }$$
この式は↓のように変形できます。
↓\(x^2\)の係数aを前にもっていく
\( \Large = a(x^2 + \frac{b}{a}x) + c \)
\( \Large = a\{\CR{x^2 + \frac{b}{a}x +(\frac{b}{2a})^2} -(\frac{b}{2a})^2\} + c \)
↓赤色部分を二乗の形式に
\( \Large = a\{\CR{(x + \frac{b}{2a})^2} \ -(\frac{b}{2a})^2\} + c \)
↓残った部分を外に出す
\( \Large = a(x + \frac{b}{2a})^2 -\frac{b^2}{4a} + c \)
↓外側部分を一つにまとめる
\( \Large = a(x + \frac{b}{2a})^2 -\frac{b^2 -4ac}{4a} \)
これを平方完成形といいます!
「平方完成」の形にすると、二次関数の性質が見える!
↑のように謎変形しましたが、それには理由があるんです。この形にすると、二次関数の性質がわかってくるんです!
平方関数のメリット1:頂点がすぐにわかる
↓の平方完成の形を見ると、頂点(最小/最大となる点)がどこかが一発でわかります。
$$ \large{y = a(x + \frac{b}{2a})^2 -\frac{b^2 -4ac}{4a} }$$
それは\( \CB{x + \large{\frac{b}{2a}}=0}\) の時です。それは↓の二乗部分の最小値は0といえるからです。二乗部分はマイナスにはなれないんです!
この部分の最小が0であり、また二乗の外の部分は定数であるため、↓の場合が二次関数が最小/最大(頂点)になる時と言えるんです!
↓変形
\( \displaystyle \large{ x = -\frac{b}{2a}} \)
最小になるか最大になるかは↓のようにaの符号で決まります
a<0 ⇒ 最大
平方関数のメリット2:\(y=ax^2\)の平行移動の形とみなせる
コチラの記事で、関数f(x)を横にB、縦にC移動した関数g(x)は↓の形式で表せることを説明しました。
$$ \large{g(x) = f(x-B) + C }$$
今回の↓平方完成の形を見ると、、、\(y=ax^2\)を移動したものとみなせるんです!
$$ \large{y = a(x \CR{+ \frac{b}{2a}})^2 \CB{-\frac{b^2 -4ac}{4a}} }$$
まず青色部分は定数なのでCに値します。また、赤色部分は符号が逆ですが、Bの部分とみなせます。そのため、平方完成形の二次関数は↓のようにみなせます
\( \displaystyle \large{ f(x) = ax^2} \)を横にB,縦にC移動させたもの
\( \displaystyle \large{ B = -\frac{b}{2a}} , \ C = -\frac{b^2 -4ac}{4a} \)
つまり、二次関数はどんな形をしていても、\(y=ax^2\)を平行移動した形でしかないんです!また、\(y=ax^2\)の頂点が(0,0)なので、平方完成した二次関数の頂点は↓のように求められるんです!
\( \displaystyle \large{ (B,C) = (-\frac{b}{2a}} , -\frac{b^2 -4ac}{4a}) \)
二次関数の「平方完成」をシミュレーターで理解しよう!
それでは解説してきた、「平方完成」の考え方、平行移動の考え方をシミュレーターで確認してみましょう!
\(\large{y = ax^2 + bx + c}\)という二次関数をシミュレートできます!
- ↓でa,b,cを指定すると、二次関数がグラフ表示されます
- 「頂点である青点の座標」と「↓のB,Cの値」が一致することを確認しましょう!
\( {y=} \) + 1\( {x^2 } \) + 1\( {x } \) + 1
[頂点(B,C)の位置]
まとめ
二次関数は、↓のように複雑な形をとるものです。
$$ \large{y = ax^2 + bx + c }$$
しかし、↓のような平方完成形にしてみると、二次関数は\(y=ax^2\)を平行移動しただけだと分かるのです!
$$ \large{y = a(x + \frac{b}{2a})^2 -\frac{b^2 -4ac}{4a} }$$
- 二次関数の平方完成をすると頂点(B,C)がどこにあるかわかる
- 二次関数の形は\(x^2\)係数のaだけで決まり、その他は\(y=ax^2\)を平行移動しただけのものと言える
⇒「二次関数」カテゴリ記事一覧
その他関連カテゴリ