比熱の概念をシミュレーターを用いて解説![物理入門]
2021-05-03 温度・比熱
前々回の記事で、熱の移動/熱平衡について説明しました。物質間で、熱の移動が発生し、温度が同じになるまで熱の移動がおきます。このときの熱の流れは必ず「高温→低温」という方向になります。
ただ、渡した熱の量に対して、どれぐらい温度が上がるかを示したのが前回説明した「熱容量」です。この熱容量を、今回は比熱という概念を用いて計算していきます!
同じ物質なら、熱容量は物質の重さに比例する
前回説明した熱容量について考えていきます。復習ですが、熱容量Cによって、温度⊿Tだけ変化させるのに必要な熱Qは↓のように示せます。
熱容量の定義
\( Q = C⊿T \)
- C : 熱容量[J/T]
- ⊿T : 温度変化[K]
熱Qがどれだけ必要かは熱容量Cによって決まるわけです。さて、この熱容量Cですが、物質が同じ材料(元素)で構成されているならば、その量(重さ)に比例します。つまり上記の熱容量Cは、物体の質量mを用いて↓のように表せます。
熱容量の構成
熱容量\( C = cm \)
- c : 比熱
- m : 質量[kg]
この時、cは比例係数になります。この比例係数cを比熱と呼びます。つまり、比熱の定義は↓のようになります。
比熱の定義
比熱\( \displaystyle c = \frac{C}{m} \)
- C : 熱容量[J/K]
- m : 質量[kg]
POINT比熱は熱容量の、質量に対する比例係数!
シミュレーターで比熱の意味を確認しよう!
上記で説明した比熱を、シミュレーターを使って理解しましょう!
シミュレーションの説明
- 100度の高温の物体と、0度の低温の物体があります
- スライドバーで2つの物質の比熱(\(c_高,c_低\))と質量(\(m_高,m_低\))を変更出来ます
- 結合/分離ボタンを押すと、右側の低温物体をくっつけたり離したりできます
- 結合により熱の移動が起き、↑で説明した熱平衡温度になることを確認しましょう
- 物体の温度表示として、「赤/青のグラデーション色で示すモード」「分子の動きで表示するモード」の2つを切り替えられます
- リセットで状態を初期化し、最初から実験できます
↓2つの物質のパラメタを変えて、熱平衡となる温度を確認しましょう!
温度表示色表示 分子表示
↑動的に再生速度を変えられます。左端で0にすると、一時停止となります。
POINT同じ質量でも、比熱によっ温度の変わりやすさが違う!
まとめ:比熱を使うと、熱容量を質量を用いて表せる!
最後にまとめです。物質の温度の上がりやすさは、物質の「大きさ」「性質」によって決まり、それを熱容量Cと呼んでいました。
この熱容量Cは物質の質量mに比例します。この関係性を表すのが今回説明した比熱cになります。この関係性を理解しておきましょう!
熱容量の構成
\( C = cm \)
- C : 熱容量[J/K]
- c : 比熱
- m : 質量[kg]
「比熱」まとめ
- 比熱は熱容量の、質量に対する比例係数
- 比熱によって、1グラムあたりの温度の上がりやすさが分かる
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