金属の特性を知ろう!「光沢性」「展延性」をシミュレーターで理解しよう![化学入門]
前回の記事で、金属とは何か?について解説しました!また、金属の特性である「熱伝導性」「導電性」について解説しました!
今回は前回記事の続きで、金属の「光沢性」「展延性」を解説していきます!
目次
おさらい:金属とは
金属の特性
金属とは私達の世界と馴染み深いものです。では、どのようなものを金属というかというと、、、↓のような性質を持ったものを言います。
- 熱が速く伝わる(熱伝導性)
- 電気を流す(導電性)
- 光沢がある
- 伸ばしたりできる(展延性)
これらは金属全般での特徴です。金/銀/銅/鉄/アルミなど種類は違っても、基本的にこのような性質をすべてもっているんです!
金属 = 原子核の束縛が薄く、自由に電子が動けるもの
金属とは「自由電子を持つもの」と言えます。では自由電子とは何かというと↓のようなイメージになります。
原子核の束縛が薄く、原子周辺から自由に離れることができる電子
これは「電気陰性度」が関係します。電気陰性度とは「原子核が共有電子を自分のほうにひっぱる力」でした。つまり「電気陰性度 = 電子にとっての重力」みたいなものです。これがあるので、電子は原子核の周りをクルクル回ってるんですね。
しかし、金属は「電気陰性度」が低いのでその束縛が薄く、↓のように原子間を電子が移動出来るんです!このようにして金属同士が電子を共有することによって、金属同士がくっつきます。これを「金属結合」といいます。
金属の特性「光沢性」 金属はなぜ光る?
金/銀/銅/鉄などの金属を思い浮かべると、どれも↓のようにピカピカと光っていますよね。実はこれも自由電子の動きで説明できるんです!
というのも「自由電子は自由に動けるため、外から来た光の波長に合わせて反射させられる」んです!実際に電子が光を反射させているイメージが↓のアニメーションになります。
外から光がくると、外側を移動している自由電子がこれを反射するんです。だから、金属は光って見えるんです!
少し難しいですが、一般的な元素の周りを回っている電子は原子核(陽子)に束縛されているので、表面まできて反射出来ない、、、というイメージです。↑のように、外からきた光をうまく跳ね返せるのは自由電子だからの特性なんです!
金属の特性「展延性」 金属のなぜ伸ばせる?
次に、金属の「展延性」について考えてみます。「展延性」とは↓の画像のように金属を叩いて延ばしたり、引っ張って伸ばしたりできることを言います。
通常、原子が化学結合をしていた場合、それを外側から力を入れたら結合が壊れてしまい、2つの分子は離れてしまいます。
しかし、金属結合の場合は「自由電子を全体で共有してるので、ズレても結合を保てる」のです!金属結合は2分子間というより、自由電子共有を通して金属全体で結合してるような状態になります。なので、少しぐらい引き伸ばされても、結合したままになるんです!
↓のシミュレーターでその様子を確認してみましょう!「押す」ボタンを押下すると、左にある棒に押されて、金属原子がズレていきます。ズレても、金属結合を保って、自由電子が共有できていることを観察してみましょう!(リセットボタンで最初の状態に戻せます)
↓「押す」ボタンを押してみてください!
棒で押してみると、↓のようになります。金属の最上部がズレていきますが、金属結合は保ったままになり、自由電子は全体で移動できる状態になっています。このように原子がズレても結合したままなので、金属は引き伸ばすことが可能なのです!
まとめ:金属の特性 = 自由電子の特性
前回記事/今回記事で↓のような金属の特性それぞれを、シミュレーターを用いて解説してきました!
- 熱が速く伝わる(熱伝導性)
- 電気を流す(導電性)
- 光沢がある
- 伸ばしたりできる(展延性)
いろんな性質がありますが、どれも実は自由電子/金属結合で説明がつく特性なんです!このように、自由電子を持つか、持たないかで原子の特性は大きく変わるんですね!そして↓の周期表の灰色部分の通り、ほとんどの原子がその特性を持つんです。
だからこそ、金属の動きを理解しておくのはすごく重要なことです。シミュレーターの自由電子の動きのイメージで理解しておきましょう!
- 金属に光沢があるのは、表面近い自由電子が入ってきた光を反射するため
- 金属が伸ばしたり引っ張ったりできるのは、金属が少しズレても自由電子による結合を保てるため
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