Surface Pro Xは超魅力的だけど超危険!ARM版のリスクを理解しよう!
目次
- 1 Surface Pro X発表!近代的な細ベゼルと薄型筐体でカッコいい!けど…
- 2 ARM版のリスク/デメリットが大きすぎる!
- 3 リスク1:x86(32bitアプリ)が動作可能。64bit版は動作不能!また、エミュレーションのため、遅い&メモリ制限あり!
- 4 リスク2:AdobeソフトやChromeなど64bitアプリは対応を待たないと使えない!
- 5 リスク3:steamなどのゲームには使えなさそう…
- 6 リスク4:ハードウェアのドライバなどはARM版でないと動かない…
- 7 まとめ:Surface Pro Xは「ブラウザだけで良い」というようなライトユーザー& 「全てのアプリの互換性が理解できている」上級者向けデバイス!普通のWindowsを求めるのは危険です!
Surface Pro X発表!近代的な細ベゼルと薄型筐体でカッコいい!けど…
Surfaceの発表会の中で色んな製品が発表になりました。本来はSurface Pro7がメインのはずなのですが… 今回は完全にSurface Pro Xが主役になっていましたね!Surface Pro X!名前からして本当に凄そうです。
下の動画のようにデザインも洗練されています。4,5年前のデザインのままのSurface Pro7と比べて、ベゼル幅も非常に狭くなっており、画面サイズのSurface Proの12.3インチから13インチと大幅に進化しています。なのに筐体サイズはそのまま!そしてインターフェイスもUSB Type-Cが2つ標準装備と、最新の端末らしい仕様といえます。普通のUSB口はないけど、、
また力の入れようも半端なく、クアルコムとの共同開発によるカスタムチップ「SQ1」を採用しています!性能はよくわかってないですが、マイクロソフトがいうにはワットあたりで「Surface Pro 6」の3倍出るらしいです。まあ、ワットあたりなのでSurface Pro 6より速いかは微妙ですが。
こんな最先端な機種、すごく魅力的ですよね!そして名前も「Surface Pro X」とあきらかにSurface Proの進化版みたいでカッコいいですよね!!また、多くのニュースサイトやブログでもこのSurface Pro Xが究極のデバイスみたいな形で紹介されています。
でもでも… このSurface Pro X、何も考えずに買ったら超危険です!かなり注意して買わないと絶対に後悔します!「ARM版」、この意味を理解しておかないと大変なことになります!そのあたりを解説します!
ARM版のリスク/デメリットが大きすぎる!
Surface Pro XはARM版です。ARMアーキテクチャで構成されています。普通にintel CPUのWindowsとは全く違うんですね。WindowsもARM版のもので作り直して構成されているんです。OSについては、マイクロソフトさんが頑張ってくれてるのでいいんですが、重要なのはその上で動くアプリの話。基本的に「ARM版アプリとintel版アプリは互換性がない」んです。全く別物なんです!なので、今までWindows 10で動いていたアプリがSurface Pro Xの上で動くとは限らないんです!怖い!
そのあたりの説明が↓のURLに書いてあります。
https://docs.microsoft.com/ja-jp/surface/surface-pro-arm-app-performance
https://docs.microsoft.com/ja-jp/windows/uwp/porting/apps-on-arm
簡単に抜粋すると↓な感じです。うーん、超意味わからないですよね… でもこれ理解しておかないと、大変なことになるんです。ということで以下解説していきます。
ハードウェア、ゲーム、アプリのドライバーは、Windows 10 ARM ベースの PC 向けに設計されている場合にのみ機能します。 詳しい情報については、ハードウェアの製造元、またはドライバーを開発した組織に確認してください。 ドライバーは、ハードウェアデバイスと通信するソフトウェアプログラムであり、ウイルス対策ソフトウェアとマルウェア対策ソフトウェア、印刷または PDF ソフトウェア、支援技術、CD と DVD のユーティリティ、および仮想化ソフトウェアで一般的に使用されています。 ドライバーが機能しない場合は、そのドライバーに依存するアプリまたはハードウェアは動作しません (少なくとも完全ではありません)。 周辺機器とデバイスは、依存するドライバーが Windows 10 に組み込まれている場合、またはハードウェアの開発者がデバイス用の ARM64 ドライバーをリリースした場合にのみ機能します。
64 ビット (x64) のアプリは動作しません。 64ビット (ARM64) アプリ、32ビット (ARM32) アプリ、または32ビット (x86) アプリが必要です。 通常は、32ビット (x86) バージョンのアプリが見つかりますが、一部のアプリ開発者は、64ビット (x64) アプリのみを提供します。
一部のゲームは動作しません。 ゲームとアプリは、1.1 よりも大きいバージョンの OpenGL を使用している場合、または Windows 10 ARM ベースの Pc 向けに作成されていない “” クイック実行 “ドライバーに依存している場合には動作しません。 ゲームのパブリッシャーに問い合わせて、ゲームが機能するかどうかを確認します。
Windows エクスペリエンスをカスタマイズするアプリに問題が発生する可能性があります。 これには、入力方式エディター (Ime)、支援技術、クラウドストレージアプリなどがあります。 アプリを開発する組織は、アプリが Windows 10 ARM ベースの PC で動作するかどうかを決定します。
一部のサードパーティ製ウイルス対策ソフトウェアをインストールできません。 Windows 10 ARM ベースの PC でサードパーティ製のウイルス対策ソフトウェアをインストールすることはできません。 ただし、windows セキュリティは、Windows 10 デバイスでサポートされている有効期間の安全性を維持するのに役立ちます。
Windows Fax とスキャンは使用できません。 この機能は、Windows 10 ARM ベースの PC では使用できません。
上の記述を一つずつ、ARM版では何が動くのか動かないのかを細かく解説していきます。
リスク1:x86(32bitアプリ)が動作可能。64bit版は動作不能!また、エミュレーションのため、遅い&メモリ制限あり!
まずですが「Intelで動いていたアプリの32bit版は一応ARM版でも動作」します。それはARM版に32bit版(専門的にはx86という)をエミュレーション、どうにかして動かす技術が入っているからです。
ただ、この32bit版が曲者です。これは昔のPCの仕様で、最近は64bitアプリが主流になってきているからです。ブラウザでもadobeソフトでも、普通にダウンロードすると64bit版(x64)になります。そして、この64bit版が使えないという残念仕様なんです… つまり、普通のWindows 10アプリは使用できないんです!
じゃあ、どうするかというと… 32bit版をダウンロードするしかないんですね。それなら一応動きます。でも、エミュレーションといってIntelのCPUの真似をするので動作が遅いんです。また32bitアプリの制約上、使えるメモリは各アプリで3GBまでです。せっかく16GBのPC買っても、各アプリは3GBまでしか使ってくれなくなります。デザイナー向けソフトだと3GBだけだと辛いですよね…
例えば、下図はFirefoxのダウンロードページですが、よくみると「Windows 64bit」とは別に「Windows 32bit」というのが隠れてあります。この32bit版を落とさないと使えないということなんです。メインストリームの64bit版は使えないと… キツイ。
またこのARM上でのエミュレーションがどれぐらい遅いのかも、一部ページで実測して公開されています。以下がその抜粋です。下図のグラフのように、Snapdragon(ARM CPU)で動作するアプリはかなり低速で、純粋なIntelのCPUの1/3程度しか性能でてません。Snapdragonというかなりの性能が高いARM版CPUでも、Intelの下位モデルにも勝てない状況になっています。辛い…
引用元:https://www.techspot.com/review/1599-windows-on-arm-performance/page2.html
リスク2:AdobeソフトやChromeなど64bitアプリは対応を待たないと使えない!
上記の通り、ARM版では今まで動作していた32bitアプリもエミュレーションでしか動作しなくなり、激遅&メモリ制限が発生します。また、肝心のメインストリームである64bit版が使えなくなってしまうんです…
最近のAdobeやChromeなどは64bit版に力を入れているため、そのままだと使えなくなるはずです。一応Adobeも下記URLの通り、ARM版提供を示唆しはじめています。Chromeも一応ARM版提供のリリース準備はじまっているようです。ただ、まだそのリリースは先になりそうです。
まだこの2社は積極的にARM版に取り組んでいるので良いのですが… つまりはこんな感じで各アプリ制作会社の対応を待たないといけないんです!それまで待つしかない、、、必須アプリがこんな状態になったらPCとして使い物にならないですよね><
↓Adobe先生は積極的にARM版に取り組む様子… ただマイナーアプリにまで手をかけてくれるのか
https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1211026.html
↓chromeはリリース前まできてるのに、マイクロソフトと政治的な部分で対立して来年まで出ないみたいです… こんな感じで待たされるってきつい…
https://www.neowin.net/news/chrome-for-windows-on-arm-is-ready-but-google-isnt-releasing-it
リスク3:steamなどのゲームには使えなさそう…
重要な部分ですが、ゲームなどは基本ARM版では動かないと思ったほうが良いかもです。Steamで売っているゲームとか。ゲームはかなり性能を要求するもので、64bitが必須になっているものも多くあります。また、32bitだとしても、上記のようにエミュレーションで遅くなるので、まともに動かなくなる可能性高いです。また、上記に書いてある通り、Open GL1.1以上は動作しなくなります。コレ使っている時点でアウトです。
これは、、、ゲームはできないと思ったほうがいいかもですね。
↓有名ゲームのFallout4の必要スペック。64bitが大前提になっています。この時点で動かないですね。
リスク4:ハードウェアのドライバなどはARM版でないと動かない…
上記のようにARM版アプリは動かないものがたくさんある訳ですが… 特に注意してほしいのがハードウェアのドライバです。ARM版では既存の32bit版ドライバでも動かないようです!32bitアプリはなんとかエミュレーションで動いていましたが、ドライバはそれじゃ駄目とのこと!だから、外付けで特殊なキーボードを使っている人とか注意が必要です。
自分も↓のようにThink Padのキーボードを外付けして使っているので、かなり厳しい状況です。ARM版のドライバなんて用意されてないので動かない気がしてしょうがないです><
まとめ:Surface Pro Xは「ブラウザだけで良い」というようなライトユーザー& 「全てのアプリの互換性が理解できている」上級者向けデバイス!普通のWindowsを求めるのは危険です!
上記のように、Surface Pro Xはかなり危険なデバイスです。多くのニュースサイトやブログではちゃんとARM版の説明をしていないので騙されそうですが… 超絶危険です!
はっきり言って上記のややこしい説明文の意味がわかる人、かなり上級者の人しか買えないものだと思います。今使っているアプリがSurface Pro Xで動くか調べるのもスゴく大変ですし、将来的なことを考えるともっと大変です。マイクロソフトのARM版はSurface RTというもので失敗してますし、また失敗に巻き込まれる可能性もあるので。
もしくはiPadのようにブラウザ+αの機能しか使わない人にはオススメかもしれません。「このソフトが動かないと困る!」ってのがない人なら大丈夫です。でも、そういう人なら、iPadとか使うだろうと思いますし、なんだかんだ10万以上するので、、、、
多くの人は、Windowsを購入するときに「今までのアプリがそのまま動く」ことを期待すると思います。新しいアプリならiPadとかMacでもいいわけですし、「今までのアプリがそのまま動くという互換性」こそがWindowsの一番のメリットになっているはず。
でも、その「互換性」というメリットを信じ込んでSurface Pro Xを購入してしまうと痛い目にあうと思います。Surface Pro Xはライトユーザー向けに見えて、実はかなりの上級者向け端末… それが自分の今の印象です。とにかく本当に注意してSurface Pro Xを選んでくださいませ!!
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